満員電車対策としての電車の二階建てはあまりに非現実過ぎる件
どうも坂口です。
皆さんは通勤通学などで電車を利用されますか?
毎日、満員電車で移動されている方も多いと思います。
そこでこのようなニュースを見かけました。
これは東京都知事選挙で当選し、都知事となった小池百合子氏が公約としてあげた「満員電車対策」
これの原案を作った交通コンサルタント「ライトレール」の阿部等氏にインタビューした記事です。
さて、この中で注目されている方策が
二階建て車両
というものです。
二階建て車両とは?
今でも二階建て車両はあります。
グリーン車なんか二階建てですよね。
しかしながら小池知事たちが考える二階建て車両はちょっと違うみたいです。
冨田社長は、東海道線などのグリーン車の2階建て車両を想定されていると思います。中央だけが2階建てで、1階建ての両端部との間に階段があり、ドアが二つしかないため、乗り降りに時間がかかります。
小池知事と私の考える総2階建て車両は全く別物で、1階と2階を独立した構造とし、ホームも2階建てにします。床面積を倍増でき、扉も多くでき、乗降時間は延びません。
「2階建て化」で満員電車ゼロ? 費用・安全…小池氏ブレーンに直撃 - withnews(ウィズニュース)
つまり
完全に分離した二階建て車両を作るというのです。
コストについて
費用ってどうなんでしょう?
線路を新たに造るより車両を2層化する方が、はるかに低コストです。山手線を高架でもう1線造るコストを試算してみましょう。
幅10メートルで1周約35キロ、駅は幅が広がり、車庫用地を加え、約40万平方メートルの土地が必要です。都心の超一等地の地代と移転補償費で1平方メートルあたり1千万円以上でしょう。4兆円超となり、工事費と併せて5兆円オーダーです。一方、大深度地下を掘ると、1キロあたり500億円程度として2兆円です。
総2階建て車両なら、それらの数分の一のコストでしょう。
「2階建て化」で満員電車ゼロ? 費用・安全…小池氏ブレーンに直撃 - withnews(ウィズニュース)
どうやらコストは安くなるみたいですね。
考察
この総二階建て車両は今までどの鉄道会社も導入していません。
導入していないということはそれ相応の理由があるからと考えます。
その理由を自分は
建て替え時の運休
初期投資のコスト
輸送の快適性
乗り入れを維持できない
以上の4つと考えました。
建て替え時の運休
設備を二階建て車両用に建て替えるときに必ず運休しなければなりません。
このような大規模な工事が深夜のみで終わるとは考えられません。
2012年の中央線武蔵小金井駅切り替え工事に伴う列車運休においても三鷹ー立川間で17時間程度の運休がありました。
このうち電車が走っている時間はだいたい11時間程度でしょう。
11時間もの間中央線三鷹ー立川には電車が走っていなかったのです。
三鷹と立川だったのは折り返し設備の問題でしょう。
ここで山手線に立ち戻ってみましょう。
山手線は折り返し可能駅が池袋、大崎、品川、田町のみです(たぶん)
これを考えるに運休区間は池袋ー大崎、大崎ー品川、品川ー田町、田町ー池袋となると思います。
池袋と他の駅間があまりに広い上、東京、上野、新宿、渋谷などターミナル駅も含まれ混乱を生むと思われます。
また、一日の運休で終わるとは考えにくいため損失としても大きなものになると考えられます。
その為、あまり現実的ではないと考えます。
初期投資のコスト
上記に阿部氏のコメントを引用しました。
山手線を高架で建設すると5兆円、大深度地下で2兆円
初期投資があまりに大きすぎます。
これではどうしても足踏みします。
この財源について
鉄道会社に採算度外視を求める気はありませんし、多額の税金投入も求めません。鉄道が低運賃から脱却できれば、満員電車をなくせます。ただし、運賃を一律に上げるのではなく、着席のみ料金を引き上げます。
最近は有料着席サービスを各社が充実させていますが、究極的には着席と立ち席は別商品とすべきです。移動するという基本運賃と、着席という付加価値料金の二段構成とします。
そのために、座席をはね上げ式にして背もたれにカードリーダーをつけ、スイカやパスモなどのICカードをかざして座席を下ろせるようにします。サーバーに各自の着席履歴のデータを送り、次に自動改札を通る際に課金します。
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またこれによって次のような増収が期待できるとしています。
東京圏で1日4千万人の鉄道利用者の平均客単価を40円上げられるだけで、年間6千億円の増収になり、東急電鉄の鉄道収入の4倍です。満員電車をなくすための財源になります。
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客単価40円つまり、JR東日本最短区間運賃140円(きっぷ)を
180円にすれば上のような増益となるわけです。
つまり30パーセント近い値上げになるわけですね。
国鉄の運賃値上げのような上がり方です。
まあ、一時期だけの加算運賃になるとは思いますが
お金を多く払ってまで満員電車を解決してほしいと思う方がどれだけいるかです。
逆に4年加算運賃を続ければ大深度地下
9年続ければ高架で建設できるんだなと
値上げをすれば少なからず利用は減るでしょうから
そううまくはいかないとは思いますが
そもそもこの不景気の世の中に値上げが受け入れられると思いません。
その為、現実的ではないと思います。
輸送の快適性
上記の引用より
着席と立ち席を完全に分け、別料金にするアイディアが示されました。
正直、着席と立ち席を別料金にするなら満員電車のままでいいです。
なぜ、満員電車がいやなんでしょう。
個人的には座れないからです!
別料金払わないと座れない空いている車両とか勘弁してほしいものです。
乗り入れを維持できない
不便と言う点も上げられるのですがそもそもの問題があります。
例として示された山手線は乗り入れがほぼないので問題があまりないでしょうが
湘南新宿ライン、上野東京ラインは東海道線、東海道貨物線、高崎線、東北本線、東北貨物線、常磐線、品鶴線、山手貨物線のどれかの仕組みを変えるだけでアウトです。
特に相鉄線も上記に加わる予定です。
そうなると相鉄・東急直通も問題として出てきます。
有楽町線もアウト
ちょっと話を膨らませすぎましたが直通で便利な世の中
これを維持しようと思うと二階建てというのはあまりに非現実的なのですよ。
最後に
以上のことより満員電車対策の電車の二階建てはあまりに非現実と考えます。
しかしながらダメだとは思いませんし
この方策を実行する前に出来る対策も多くあると考えます。
インタビュー内でも
――総2階建て車両以外に満員電車の解消策はありますか。
安上がりに早くできる方策がいくつもあり、輸送力を1.5~3倍に増やせます。総2階建て車両よりも先にやるべきです。例えば、駅でドアを閉めると同時に出発できるようにします。
「2階建て化」で満員電車ゼロ? 費用・安全…小池氏ブレーンに直撃 - withnews(ウィズニュース)
こういった実現性の高い方策を実施し、小池都知事とともに東京のよりより鉄道交通を実現していただけることを有権者として期待しております。